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災害伝承 / 文献に記された口伝情報

[口伝1]

津浪襲來は豫知することは困難なるも、その副現象に注意することは、幾分でもその被害を減少することが出來る。

『昭和八年三月三日 大槌海嘯略誌』
発行日/昭和8年12月20日 発行/大槌尋常高等小學校臨時海嘯調査部

[本文](※「第五章 津浪被害豫防法及び地震津浪に對する心得」より抜粋)

4、警浪の警戒
津浪襲來は豫知することは困難なるも、その副現象に注意することは、幾分でもその被害を減少することが出來る。

  • (1)、津浪には大規模の大地震を伴ふもので、その地震動は之れに緩急種々の区別があるであらうが、概して大きく揺れ且つ長く継續するものであること。
  • (2)、地震と津浪とは同時に發生するものであるが、その傅播速度に差があつて、その發生より海岸に到着するまでに、地震は三十秒程度であるが、津浪は二十分乃至四十分を要するものであること
  • (3)、津浪の襲來の時には遠雷或は大砲のやうな音を数回聞くこともあるが、それは地震後五・六分乃至十数分後に来るのが通例である。
  • (4)、津浪は三陸沿岸に於ては引潮後を以つて始まるのが通例ではあるが、何時も左様だと思つてゐてはならない。例外の場合もあると思はなくてはならない。

 以上の様なことを常に考へて置いて、それぞれの準備と心構へとを怠つてはならぬと思ふ。若し一朝不幸にして今時の様な災害に會つた際、びくともせぬ訓練を積んで置く事は大切だと考へる。

津波ディジタルライブラリィ作成委員会「津波ディジタルライブラリィ」より転載

[口伝2]

あわてるな先づ落ちついて

『昭和八年三月三日 大槌海嘯略誌』
発行日/昭和8年12月20日 発行/大槌尋常高等小學校臨時海嘯調査部

[本文](※「第五章 津浪被害豫防法及び地震津浪に對する心得」より抜粋)

5、地震・津浪に對する心得

△、あわてるな先づ落ちついて・・・・・・

  • 一、丈夫さうな机、箪笥などの陰に身を寄せて、桁・梁の破壊の危険からのがれよ
  • 一、地震が起きたら先づ出口を開けて、逃げるに便利な交通路を見つけて置け
  • 一、家屋が倒壊するのは余程の強震であるから、あわてて飛出して怪我をするな

津波ディジタルライブラリィ作成委員会「津波ディジタルライブラリィ」より転載

[口伝3]

電燈ば安全器によつて電流を遮断して、漏電による失火を防せげ

『昭和八年三月三日 大槌海嘯略誌』
発行日/昭和8年12月20日 発行/大槌尋常高等小學校臨時海嘯調査部

[本文](※「第五章 津浪被害豫防法及び地震津浪に對する心得」より抜粋)

5、地震・津浪に對する心得

△避難するときには・・・・・・・・・・

  • 一、あわてずに、地割に落ち込む心配のない空地などに避難せよ
  • 一、瓦などが上から落ちてくる心配があるから、氣をつけよ、二階などが却つて安全である。
  • 一、屋内の火には灰をかけるか水を注ぐかして、その上に、鐵瓶・鍋釜でもかけて飛出すことを忘れるな。
  • 一、電燈ば安全器によつて電流を遮断して、漏電による失火を防せげ
  • 一、塀・塗壁・煉瓦・建物・煙突・石垣・石燈籠・石塔・崖の下等は、倒壊・崩壊する危険があるから近寄るな

津波ディジタルライブラリィ作成委員会「津波ディジタルライブラリィ」より転載

[口伝4]

土砂・岩石の崩壊が、河水の流れをせき止める恐れがあるから氣をつけよ

『昭和八年三月三日 大槌海嘯略誌』
発行日/昭和8年12月20日 発行/大槌尋常高等小學校臨時海嘯調査部

[本文](※「第五章 津浪被害豫防法及び地震津浪に對する心得」より抜粋)

5、地震・津浪に對する心得

△山間の人は・・・・・・・・・・・・・

  • 一、崖崩れ、山津浪の危険があるから注意せよ
  • 一、長雨後の地震や、地震後の大雨のときは、特に氣をつけよ
  • 一、土砂・岩石の崩壊が、河水の流れをせき止める恐れがあるから氣をつけよ
  • 一、迅く安全な所に避難せよ

津波ディジタルライブラリィ作成委員会「津波ディジタルライブラリィ」より転載

[口伝5]

緩漫な長い大揺れの地震(時計の振子が止り、棚のものが落ちる程度のもの)があつたら、津浪襲來の慮れがあるから、少なくとも一時間位は警戒せよ

『昭和八年三月三日 大槌海嘯略誌』
発行日/昭和8年12月20日 発行/大槌尋常高等小學校臨時海嘯調査部

[本文](※「第五章 津浪被害豫防法及び地震津浪に對する心得」より抜粋)

5、地震・津浪に對する心得

△海岸の人は・・・・・・・・・・・・・

  • 一、緩漫な長い大揺れの地震(時計の振子が止り、棚のものが落ちる程度のもの)があつたら、津浪襲來の慮れがあるから、少なくとも一時間位は警戒せよ
  • 一、家財に目をくれず、身一つで家族を連れてのがれよ
  • 一、直に高い所、安全な所へ避難せよ
  • 一、避難するときは、川添をにげると危瞼
  • 一、夜には燈火を上げ、警鐘を打つて警告せよ

△平素の心得・・・・・・・・・・・・・

  • 一、常に非常用のマツチ・ローソク・履物等を用意し、一朝事が起きたら、あわてぬ準備が必要・・・・・・。

津波ディジタルライブラリィ作成委員会「津波ディジタルライブラリィ」より転載